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多くの企業で、DXはツールの導入で終わっています。システムは入った、しかし現場の仕事の仕方は変わらない。理由は単純で、そのツールが現場の外で設計されたからです。
私たちが見てきた企業の現場では、日々の業務のかなりの部分が「維持」に費やされ、「創造」に回る時間がほとんど残っていません。ここに外から仕組みを持ち込んでも、維持すべき対象が一つ増えるだけです。変わるのは、現場の人間が「これを変えたい」と言い出したときです。DXの成否を分けるのは技術ではなく、その一言が出てくる組織かどうかです。
20年以上にわたりアクションラーニング・コーチとして企業の変革に立ち会ってきた経験から、私は企業の繁栄が三つの要素の組み合わせで決まると確信しています。組織風土、ビジネスモデル、そしてテクノロジーです。
このうち一つでも欠ければ、残りの二つも回りません。優れた技術を導入しても、それを使いこなす風土がなければ宝の持ち腐れになる。逆に風土だけを整えても、稼ぐ仕組みがなければ疲弊するだけです。そして重要なのは、この三つが現場から立ち上がったときにのみ、互いを高め合う螺旋として動き始める、ということです。経営トップの号令だけでは、この螺旋は回りません。
AIに思考を外注すれば、考える力は確実に衰えます。一方で、AIを正しく使えばチームの創造力は何倍にもなります。分かれ目は、AIを何として扱うかにあります。
私たちは、AIに三つの役割を与えます。自分たちの思考を映し出す「鏡」、議論を加速させる「触媒」、そして前提を疑う「批評家」です。個人がAIと一対一で向き合うのではなく、チームでAIを囲むとき、この三つの役割がはじめて力を発揮します。その土台にあるのが、私たちが「ソートウェア」と呼ぶ考え方です。ハードウェア、ソフトウェアに続く第三の層として、意味のある問いを立てる力こそが、これからの組織の競争優位の源泉になると考えています。
私たちのコンサルティングは、答えを提供しません。提供するのは、貴社のチームが自ら答えを出すための思考の方法と、その練習の場です。
制約条件の理論(TOC)にもとづく生産システム改革、可視化・仕様化・自作・一元化という四つの現場原則、アクションラーニングによるチーム学習。これらはすべて、支援期間が終わったあとも組織に残り続ける資産です。支援の密度は、はじめは高く、チームが自走できるようになるにつれて下げていきます。私たちが去ったあと、貴社の中に何が残るのか。それが、私たちが最も重視している問いです。